2014年2月27日木曜日

柳兼子愛用ピアノ寄贈イベントのお知らせ

 常設展示初日に日本民藝館から寄贈された柳兼子愛用ピアノの演奏とともに、美しい歌声をご堪能いただきながら、リニューアルされた常設展示をご覧いただけます。
 今回御寄贈いただいた柳兼子愛用ピアノは、2010(平成22)年4月に日本民藝館西館柳兼子記念室に一般公開されたピアノです。河合楽器製作所製で1954(昭和29)年後半から1955(昭和30)年前半頃に制作されたものと思われます。
 今回演奏頂く方々は、市内でのコンサートに多数出演されている方々で、ソプラノ歌手の井上香奈江さん、ピアノ演奏者の加藤藍さんの奏でる美しいハーモニーとともにリニューアルされた展示をご覧ください。

注意事項

※1 予約は受け付けておりませんのでご了承ください。
※2 中展示室以外でも演奏は聴くことが出来ます。是非各展示室で展示をご覧頂きながら、ご堪能ください。
※3 混乱を避けるため、先着順に整理券をお配りする予定です。ご理解とご協力をお願いします。
※4 来館者数によっては、入場制限、各曲ごとでの入替えなども予想されます。あらかじめご了承ください。
※5 演奏中は音楽室でのCDは停止させて頂きます。

日時
3月1日(土)午前11時~、13時~(各回30分程度)
場所
白樺文学館 中展示室
費用
無料(ただし入館料がかかります)
演奏予定楽曲
「椰子の実」、「平城山(ならやま)」、「母」、「荒城の月」(ピアノ独奏)、「早春賦」、「九十九里浜」

白樺文学館で販売している柳兼子のCDもこの機会に是非お買い求めください。(数量限定)

柳兼子愛用ピアノ贈呈式

2014年2月27日(木曜日)


日本民藝館より柳兼子が晩年愛用したピアノが寄贈されました。その記念式典が、2月27日(木曜日)開催されました。日本民藝館からは、柳兼子の甥にあたる石丸重尚常務理事、杉山亨司学芸部長、我孫子市からは倉部俊治教育長、湯下廣一教育委員会総務部長、高橋操生涯学習部長、西沢隆治文化・スポーツ課長(白樺文学館館長)が出席されました。

式典の中で石丸常務理事から「里帰り」というお言葉を頂きました。


石丸常務理事
柳宗悦、兼子夫妻にとって我孫子は新婚時代を過ごした土地であり、また雑誌『白樺』での宗悦の活動を献身的にサポートした時代です。兼子は宗悦とともに白樺美術館設立のために各地でコンサートを行っていたのが我孫子時代だったのです。





                                                  


 式典の最後には3月1日(土曜日)に開催予定の柳兼子愛用ピアノ寄贈イベントにご出演頂く、井上さん、加藤さんに一曲ご披露頂きました。3月1日に多くの皆様にご鑑賞いただくのが楽しみになりました。





 
 今年は柳夫妻が我孫子に来てちょうど100年、柳宗悦生誕125年の年です。夏には特別企画展を計画しております。是非ご来館ください。


 
この貴重な財産を有効かつ長く市民の皆様にご鑑賞いただくよう、努めてまいります。また日本民藝館様との連携を深め、白樺文学館をより良いものにしていけるように努めてまいります。

2014年2月19日水曜日

公開講座「曾祖父梅原龍三郎と白樺派」

2014年2月17日(月曜日)開催

講師 嶋田華子さん(美術評論家)

 大正・昭和の洋画壇をリードした梅原龍三郎は、フランス留学時代に印象派の巨匠・ピエール=オーギュスト・ルノワールに師事。滞欧中から『白樺』誌上に師ルノワールの消息やフランス画壇について寄稿していた梅原は、帰国後に白樺社主催の梅原龍三郎油絵展覧会によって日本の画壇デビューを果たしました。
 京都、師ルノワールとの出会い、『白樺』同人との交遊の3つのキーワードをもとに、梅原の生い立ちから作風の変遷、『白樺』同人との交遊の中で、李朝陶磁器への関心を持つなど梅原の生涯についてスライド、映像を駆使して曾孫さんならではのお話やエピソードを交えつつわかりやすく解説して頂きました。『白樺』の果たした役割、その影響の大きさを改めて認識する講演会だったのではないでしょうか。
 講演会終了後、白樺文学館にもご来館頂き、2007(平成19)年面白白樺倶楽部で講演して以来のご来館となりました。現在展示中の「竹久夢二と装幀」(2月23日(日曜日)まで)では同時開催として「白樺と民藝の人々の装幀」を開催しています。
 白樺派の交友関係をその著作の装幀からうかがうことができます。是非この機会にご来館ください。
嶋田先生を囲んで
 この講座はNPO法人ふれあい塾あびこと我孫子市教育委員会の共催により開催いたしました。

2014年2月9日日曜日

「雪の日―我孫子日誌」を思う


「二月八日 昼ごろからサラサラと粉雪が降って来た。」
 
志賀直哉が我孫子時代に執筆した「雪の日―我孫子日誌」の冒頭です。偶然にも、2月8日(土曜日)は久々の大雪に見舞われ、翌日の雪かきに苦労する方々も多かったのではないでしょうか。
 白樺文学館前も30センチはあろうかという積雪に、9日午前は雪かきを行いました。すっかり文学館前のオブジェは雪に埋まってしまいました。

 
 おとなになってしまうと雪による交通網の混乱や事故を危惧するなど、雪の怖さにばかり気がとられてしまいますが、志賀直哉は「雪の日―我孫子日誌」の中で、雪について次のような言葉を残しています。
 
「雪には情緒がある。その平常(ふだん)忘れられている情緒が湧いて来る。これが自分を楽しませる。」
 
 雪が降ったことによる心のざわめきとでもいえましょうか、その非日常性への喜びについて見事に表現した一文と言えるのではないでしょうか。
 
 この「雪の日―我孫子日誌」は、『読売新聞』文芸欄において1920(大正9)年2月23日から26日まで4回にわたり連載された作品です。志賀直哉が我孫子の雪の風景を描いた作品は他に「雪の遠足」があります。その他我孫子時代の作品はどれも魅力的です。この機会に志賀直哉の作品に触れてみてはいかがでしょうか?
まだまだ路面の凍結などが心配されますが、足元に十分お気をつけて、白樺文学館にお越しください。
 
志賀直哉邸跡の様子(2月9日午前9時撮影)