今年度最初の朗読のひとときが、去る7月12日(土曜日)に開催されました。今回は兼子とピアノをコンセプトに、地階音楽室にて行われました。
 7月1日に募集開始となるや、即日定員いっぱいの状況でうれしい悲鳴でした。やむを得ず、お断りしてしまった皆様にはこの場を借りてお詫びを申し上げます。

 
 柳兼子になりきっての田中さんと水尾比呂志さん役の星さんによる対談「我孫子の頃」は、参加者も思わず笑い出す場面もあり和やかな雰囲気の朗読でした。
 一方、飯野さんによる芥川龍之介「ピアノ」の朗読。芥川の描く情景を見事に表現する朗読に、参加者は聞き惚れている様子でした。芥川と兼子は実は幼稚園の同級生であり、またこの作品の描かれた時代はちょうど関東大震災の後を描いています。『白樺』にとって関東大震災は、重要なターニングポイントです。我々も3年前大きな地震を経験しました。現在開催中の企画展「柳宗悦展―出会いと絆の地、我孫子―」のテーマでもあります、「出会い」と「絆」。今回の朗読を通して「出会い」と「絆」を深めていただければと思い、この作品を朗読していただきました。
 さて休憩をはさみ、最後に萩野谷さんによる児童文学、立原えりか「ピアノのおけいこ」の朗読です。司会がうっかり種明かしをしてしまい…ということもありましたが、萩野谷さんの温かい雰囲気の中で朗読していただきました。また今回は兼子をテーマにしていることもあり、兼子の歌も何曲かお聞きいただきました。
 
 次回は1月下旬頃を予定しています。まだテーマは未定ですが、リクエストなどありましたら、お気軽に文学館までご連絡ください。
 
 次回の朗読のひとときも多くの方々のご参加をお待ちしています。